世界初!AUVによる浮体式洋上風力発電施設(水中部)の全自動周回点検に成功!
~自律型無人探査機(AUV)利用実証事業(内閣府総合海洋政策推進事務局事業)~
自律型無人探査機(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)を用いた浮体式洋上風力発電施設の水中点検技術を開発し、長崎県五島市沖における実証試験において、世界で初めて、AUVによるスパー型浮体(水中部)の全自動周回点検に成功しました。
本実証試験は、「自律型無人探査機(AUV)利用実証事業(内閣府総合海洋政策推進事務局事業)」に採択された「AUVを用いた浮体式洋上風力発電施設の点検を実現するための実証試験(いであ?戸田建設?東京海洋大学?九州工業大学の4者による共同実施)」において実施したものです(図1参照)。
いであ株式会社(代表実施者)の所有するホバリング型AUV「YOUZAN」を利用して、新たな制御システムを開発し、365体育app6年9月に長崎県五島市崎山沖浮体式洋上風力発電所「はえんかぜ」(スパー型浮体)と、365体育app6年11月に同椛島沖のスパー型浮体施設(「はえんかぜ」と類似形状)を対象に、本実証試験を実施しました(写真1参照)。
スパー型浮体(水中部)の全自動周回点検を可能とするAUV 自律制御点検システムは、ホバリング型AUVに搭載したソーナーにより浮体を検知し、浮体との距離を一定に保ちながら浮体を螺旋状に周回潜航して、高感度カメラにより浮体の画像を撮影記録するものであり、世界最先端の革新的技術です。
周回点検は、浮体を係留するため3方向に設置された係留チェーン接続部の水深5m~7m付近で行われました(写真2参照)。係留チェーン接続部や係留チェーン等の障害物を自律で回避しながら(写真3参照)、2周半程度周回して撮影を行いました。さらに、水深15m付近で、3方向に展張した係留チェーンの内側を周回して、撮影を行いました(写真4参照)。
なお、このような行動は、ROV(Remotely Operated Vehicle)では実現できないものです。全自動で周回点検を行い、撮影した浮体の3Dデータを図2に示します。
我が国における2050 年カーボンニュートラルの達成に向けて、洋上風力発電は再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札とされており、沿岸のみならずEEZ(排他的経済水域)において展開される浮体式洋上風力発電に大きな期待が寄せられています。多くの洋上風力発電装置が設置されれば、その水中部の点検やメンテナンスは自動化や無人化が求められ、AUVによって行われることになると考えられます。
今後は、本実証試験の成果を活用して、着床式構造物を含む多様な形状の洋上風力発電施設、浮体係留索、ダイナミックケーブル等、の水中点検に活用できるAUV技術の開発を加速させていきます。
【参考資料】
◇ TUNA-SAND級ホバリング型AUV「YOUZAN」の開発(いであ株式会社 技術広報誌「i-net」vol56)
◇ 海の次世代モビリティ実証実験~ズワイガニ資源量推定におけるAUV活用~(いであ株式会社 技術広報誌「i-net」vol64)
◇ 沖ノ鳥島周辺海域の海底地形および生物相調査(いであ株式会社 技術広報誌「i-net」vol67)
◇ ホバリング型AUVによる水中環境調査(いであ株式会社サイト 技術資料)
◇ 世界初! AUVによる浮体式洋上風力発電施設(水中部)の全自動周回点検に成功!(全自動周回点検の動画YouTube)
◇ AUV利用実証試験の公募結果について(内閣府WEBサイト)
【研究内容に関するお問い合わせ先】
国立大学法人 九州工業大学
大学院生命体工学研究科
人間知能システム工学専攻 准教授 西田 祐也
TEL:093-695-6105
E-mail:y-nishida*brain.kyutech.ac.jp
【報道に関するお問い合わせ先】
国立大学法人 九州工業大学
経営戦略室(広報?ブランディング担当)
TEL:093-884-3007
E-mail:pr-kouhou*jimu.kyutech.ac.jp
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