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世界初! 大腸菌「呼吸酵素」の精密立体構造を解明

更新日:2019.10.04

世界初! 大腸菌「呼吸酵素」の精密立体構造を解明

- 病原菌の「息の根を止める」幅広い創薬へ大きな前進 -

本学情報工学研究院の坂本順司教授は、ドイツ マックス-プランク生物物理学研究所の研究グループらとの共同研究で、大腸菌で働くシトクロムbd型呼吸酵素の、原子レベルの精密立体構造を解明しました(左図)。3年前の好熱菌での共同研究成果と合わせ、bd型呼吸酵素の多様性も明らかになりました。

ポイント

  • このbd型呼吸酵素は、病原性大腸菌O-157などで増殖や毒性を支える分子機械
  • 3年前に解析に成功した好熱菌と合わせ、グラム陽性菌/陰性菌の成果が出そろった
  • 大腸菌だけでなく様々な菌により引き起こされる感染症への抗菌薬の開発も期待される

今回の構造解明は、低温電子顕微鏡法(クライオ電顕)という手法で達成されました。ヒトの体にも「呼吸酵素」はありますが、そちらは「ヘム銅型」と呼ばれ、「bd型」とは分子構造が異なります。



今後、この構造情報に基づいて、病原菌のbd型呼吸酵素を阻害するがヒトのヘム銅型呼吸酵素を阻害しない薬を設計すれば、感染症を治療する新しい抗菌薬が開発できるものと考えられます(右図)。今回明らかになった多様性に基づいて分子設計を微調整することで、対象を大腸菌以外に広げることもでき、今でも世界で多数の死者を出す結核菌や、先進国でも多剤耐性菌がはびこる黄色ブドウ球菌(MRSA)なども標的にできることも期待されます。


この研究成果は、米国科学雑誌「Science(論文誌)」(2019年10月4日号)に掲載されます。


論文名:Active site rearrangement and structural divergence in prokaryotic respiratory oxidases
著 者:S. Safarian,A. Hahn,D. J. Mills,M. Radloff, M. L. Eisinger,A. Nikolaev,J. Meier-Credo,F. Melin,H. Miyoshi,R. B. Gennis,J. Sakamoto,J. D. Langer,P. Hellwig,W. Kühlbrandt,H. Michel


◇詳細はこちら。(プレスリリース本文)


【お問い合わせ先】
国立大学法人九州工業大学 総務課広報企画係
TEL:093-884-3007
E-mail:sou-kouhou*jimu.kyutech.ac.jp
(*を@に置き換えてお送りください)

【研究内容に関するお問い合わせ】
九州工業大学 大学院情報工学研究院
生命化学情報工学研究系 教授 坂本順司
TEL:0948-29-7823
E-mail:sakamoto*bio.kyutech.ac.jp
(*を@に置き換えてお送りください)


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